ピラティスとの出会い、プロとしてのキャリア、そして指導者への道~UKIインタビュー中編~
前編からの続きです、前編の内容はこちら
1. プロダンサーとしてのキャリア
Q. ベルギー王立バレエ学校を卒業後、どのような道を歩んだの?
卒業後はスイスのジュニアカンパニーに所属して、プロとしての基礎をさらに磨きながら、さまざまな作品に出演する機会を得た。同時に、リハーサルアシスタントとして作品作りにも携わるようになり、バレエ団のトレーニングを担当するなど、指導者としての経験も積み始めた。
Q. スイスでの経験はどうだった?
充実した日々だった。舞台数が多く、毎日のように体に高い負荷がかかる環境で、メンタルの強さも求められた。リハーサル後には外部講師として、バレエやコンテンポラリー、ピラティスの指導をしていたから、トレーニングの重要性をより実感するようになった。
Q. その後、ドイツのバレエ団に移籍したよね?
そこに至るまでが本当に大変だった。オーディションを受け続けて3年。ヨーロッパ中のバレエ団を回って、何度も挑戦した。
Q. 3年も!? それは大変だったね…
正直、心が折れそうな瞬間もあった。バレエのオーディションって、技術力だけじゃなくて、身体的特徴やディレクターが求めるイメージとの相性も重要になるから、実力があっても受からないことも多い。
Q. それでも諦めなかった理由は?
やっぱりプロとして舞台に立ちたかったし、夢を叶えたかったから。最初に市立の劇場と契約して、4年後にはさらにスキルアップしたいと思っていた。踊りたい振付家の作品を目指して、倍率約300倍の州立バレエ団のオーディションを受けて、契約を結ぶことができた。
Q. そこではどんな作品を踊ったの?
プロになってからは、クラシック作品だけじゃなく、ネオクラシックとコンテンポラリーがメインになった。オペレッタ(オペラ作品)やミュージカルにも出演する機会があって、バレエとはまた違った表現の幅が広がった。
2. ピラティスとの出会い
Q. ピラティスを始めたのはいつ?
最初にピラティスをやったのは15歳のとき。バレエの先生に「パフォーマンス向上のためにやってみたら?」と勧められたのがきっかけ。
Q. ダンサーとしてピラティスを取り入れたことで、何か変化はあった?
すごくあった!特に体幹の安定感が増して、動きのコントロールがしやすくなった。あと、ケガの予防にもつながった。
Q. ピラティスの指導資格も取ったんだよね?
現役時代に、自分のケアだけでなく、仲間のサポートもできるように資格を取った。
Q. ピラティスのどんなところに魅力を感じた?
バレエと同じで、ただ筋肉を鍛えるんじゃなくて、身体の使い方を学ぶところ。特にエロンゲーション(伸び合う感覚)は、バレエと共通する部分が多い。
3. 指導者への転身
Q. 引退後、なぜピラティス指導者の道を選んだの?
現役時代にケガと向き合うことが多かったから、同じように身体に悩みを持つ人をサポートしたいと思った。
Q. ダンサーの経験は指導にどう活かされている?
身体の感覚を言葉で伝える力は、ダンスを通して培われたものだと思う。たとえばキューイング(イメージを使った指導)や、動きを観察する力は、バレエやコンテンポラリーの指導経験がすごく役立っている。
Q. じゃあ、ピラティスとダンスの指導は似ている?
共通する部分もあるけど、ピラティスの指導では「力まないこと」や「生活に自然と溶け込むこと」を特に大事にしている。
Q. 力まないって、トレーニングなのに不思議な感じがするね。
そう思うかもしれないけど、ピラティスは単に筋力をつけるものじゃなくて、効率よく身体を動かすためのトレーニング。だから、必要以上に力まず、無駄のない動きができるようになることが大事なんだよね。
Q. 生活に溶け込むっていうのは?
「スタジオでやって終わり」じゃなくて、日常生活にも活かしてほしいってこと。たとえば、姿勢を意識するだけでも変わるし、日常動作の中でピラティスの考え方を取り入れることで、自然と身体が整ってくる。
後編に続きます。