【書籍紹介】「アトピーが消えるたった1つの方法」から学ぶヒスタミンと食事の関係
〜不調の原因は“ヒスタミン”かもしれません〜
今回の記事では、医師の本間良子先生の著書『アトピーが消えるたった1つの方法』を参考に、「ヒスタミン」に関する視点から食事と体調の関係を見つめ直していきたいと思います。
本書では、アトピー性皮膚炎や慢性的な不調に悩む多くの方にとって、「ヒスタミン過剰」という見えにくい原因が存在している可能性があると指摘されています。
ヒスタミンは本来、免疫反応や消化・脳の働きに関わる重要な物質ですが、過剰になると炎症やかゆみ、頭痛、倦怠感、集中力の低下などさまざまな不調を引き起こします。
本書の中で印象的だったのは、「今まで健康に良いと思っていた食事が、実は不調の原因になっていることもある」という点です。
この記事では、ヒスタミンの基本的な働きや、ヒスタミンの多い食品・抑える食品などを紹介しながら、日々の食事を見直すきっかけになるような内容をお届けしていきます。
① ヒスタミンとは?〜体内での役割と炎症メカニズム〜
ヒスタミンは体内で自然に作られる化学物質で、以下のような働きを持ちます:
✅ 免疫反応の調整(外敵から身を守る)
✅ 胃酸の分泌を促す(消化をサポート)
✅ 神経伝達物質として働く(脳や感情の調整)
しかし、以下のような要因で過剰に分泌されたり、分解されずに蓄積したりすると、体にとって“刺激物”となり、炎症を引き起こします。
▶ 鼻水・くしゃみ・かゆみなどのアレルギー症状
▶ 肌の赤みや湿疹、慢性のかゆみ
▶ 頭痛・めまい・不眠・消化不良などの非典型的な不調
② ヒスタミンに影響する食べ物
ヒスタミンの過剰は、ヒスタミンを多く含む食品や、体内でのヒスタミンの放出を促す食品によって引き起こされることがあります。
✅ ヒスタミンを多く含む食品(摂取すると体内にヒスタミンが蓄積されやすい)
• 発酵食品:チーズ、納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌
• 熟成食品:燻製肉、ソーセージ、ハム、干物
• 魚介類:マグロ、サバ、イワシ、エビ(特に鮮度が落ちたもの)
• アルコール類:赤ワイン、ビール、日本酒
• その他:トマト、ほうれん草、ナス、ナッツ類、チョコレート、酢
これらの食品は健康的に見えるものも多く、「体にいいから」と毎日摂っていると、ヒスタミンが蓄積し、かえって不調を引き起こすことがあります。
✅ ヒスタミンの分泌を促す食品(ヒスタミンを含んでいなくても、体内からの放出を刺激する)
• 添加物や保存料:ソルビン酸、亜硫酸塩、タール色素など
• 食品化学物質:カフェイン(コーヒー・紅茶)、アルコール、砂糖
• 加工食品:スナック菓子、ファストフード
• 天然食材でも刺激性の強いもの:柑橘類(レモン・オレンジなど)、唐辛子、イチゴ、パイナップル
これらの食品は体内でヒスタミン放出を促進しやすいため、「ヒスタミンを摂っていないのに不調が出る」という人は、放出促進の食品に注意する必要があります。
【豆知識】「秋ナスは嫁に食わすな」の本当の意味?
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざをご存知でしょうか?
一見すると、意地悪な姑のセリフのようにも思えますが、実はこんな解釈もあるんです。
秋ナスは美味しいけれど、体を冷やしやすい・ヒスタミンを多く含む食材のひとつ。特に妊娠中の女性や、アレルギー体質の人には、食べすぎに注意が必要とも言われています。
つまり、「大切な嫁の体を気遣って控えさせた」という説もあるのです。
ナスやトマト、ほうれん草などは、ヒスタミンが蓄積されやすい食材。体調に合わせて、食べ方や量を調整することが、ヒスタミンとうまく付き合うポイントなのかもしれません。
③ ヒスタミンと酵素の関係
ヒスタミンの分解には、前回の記事で紹介した以下のような酵素の働きが関わっています。
• DAO(ジアミンオキシダーゼ):小腸や大腸で働き、食事由来のヒスタミンを分解
• HNMT(ヒスタミン-N-メチルトランスフェラーゼ):脳など中枢神経系でヒスタミンを処理
➡ これらの酵素の働きが弱っていると、ヒスタミンの処理が追いつかず、アレルギー症状や炎症を引き起こしやすくなります。
まとめ:ヒスタミンと正しく付き合うために
ヒスタミンは悪者ではなく、本来は体に必要な働きをする大切な物質です。
ただし、「過剰」になったときに炎症や不調を引き起こす可能性があるため、ヒスタミンを含む食品や、分泌を促す食品との付き合い方が重要です。
とはいえ、「こんなに制限したら、食べるものがなくなってしまうのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
でもこれは、自分の体に合う食事を見直すきっかけと捉えてもらえたら嬉しいです。
「一般的に体に良い」と言われている食材でも、今の自分の体調や体質に合っているとは限らない。
食後に不調が続くような場合は、ヒスタミンの影響もひとつの視点として考えてみるのも良いかもしれません。
無理にすべてを制限するのではなく、体の声に耳を傾けながら、ゆるやかに取り入れていく。
そうした食との向き合い方が、心も体も健やかに整えてくれると思います。
今回紹介した本は、こちら
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医療免責事項
本記事の情報は一般的な知識の提供を目的としており、医学的アドバイスに代わるものではありません。
食事制限や栄養摂取について不安や疑問がある場合は、
必ず医師や栄養士にご相談ください。